本章ではゼロトラストネットワークにおける信頼性の管理について説明しています。
まず、ゼロトラストネットワークの構成要素について下記に示します。
1. Identity and Access Management (IAM):ユーザーの認証とアクセス制御を管理するためのシステム。
2. Network Segmentation:ネットワークを論理的に分割し、セグメントごとにアクセス制御を行うことで、攻撃者がシステム全体にアクセスすることを防止します。
3. Micro-segmentation:ネットワーク内の個々のデバイスやアプリケーションに対して、細かいレベルでアクセス制御を行うことで、攻撃者が特定のデバイスやアプリケーションに侵入することを防止します。
4. Policy Enforcement Points (PEPs):各セグメント内でトラフィックを監視し、ポリシー違反があった場合はブロックする役割を持つシステム。
5. Analytics and Automation:ログデータや他の情報源から得られた情報を分析し、自動化されたポリシー変更や警告などのアクションを実行する。
6. Secure Access Service Edge (SASE):クラウドネットワークセキュリティの新しいアーキテクチャで、ゼロトラストネットワークにおいても重要な役割を果たします。SASEは、WAN、セキュリティ、ゼロトラストアーキテクチャなどの機能を統合し、一元的に管理することができます。
7. Deception Technologies:攻撃者を混乱させるために、偽の情報やシステムを用意する技術です。攻撃者がこれらの偽情報やシステムにアクセスすることで、攻撃を検知しやすくなります。
8. Endpoint Security:エンドポイントデバイス(PCやスマートフォンなど)に対してセキュリティ対策を行うことで、攻撃者がエンドポイントデバイスからネットワーク全体に侵入することを防止します。
9. Cloud Security:クラウド環境におけるセキュリティ対策です。ゼロトラストネットワークでは、オンプレミス環境だけでなく、クラウド環境でも同様のセキュリティ対策が必要です。
10. Control Plane Security:ゼロトラストネットワークにおいて、制御プレーンのセキュリティを確保することが重要です。制御プレーンは、ネットワーク全体を管理するためのシステムであり、攻撃者による不正なアクセスを防止する必要があります。
次に、信頼性の管理について触れます。ゼロトラストネットワークにおいて、信頼性の管理は最も重要なコンポーネントの1つです。信頼性の管理には、以下のような方法があります。
1. Identity and Access Management (IAM):ユーザーのアイデンティティを確認し、アクセス権限を制御することで、不正なアクセスを防止します。IAMには、多要素認証やシングルサインオン(SSO)などの機能が含まれます。
2. Least Privilege Access:ユーザーに必要な最小限のアクセス権限を与えることで、攻撃者がシステム内で動き回ることを防止します。この方法では、ユーザーが必要とするリソースだけにアクセスできるように制限されます。
3. Microsegmentation:ネットワーク内のリソースを小さなセグメントに分割し、各セグメントごとにアクセス制御を行うことで、攻撃者がシステム内で動き回ることを防止します。この方法では、攻撃者が1つのセグメントから別のセグメントに移動することができなくなります。
4. Trust Score:各ユーザーやデバイスに対して、信頼度をスコア化することで、不正なアクセスを検知しやすくします。この方法では、ユーザーやデバイスの行動履歴やセキュリティポリシーの遵守状況などを評価し、信頼度を算出します。
これらの方法を組み合わせることで、ゼロトラストネットワークにおいて、信頼性の高いネットワーク環境を実現することができます。ただし、信頼性の管理は常に変化するものであり、定期的な監査やアップデートが必要です。また、信頼性の管理には時間とリソースが必要であるため、多くの企業では未だに不十分な状態が続いています。しかし、ゼロトラストネットワークを導入することで、より安全なネットワーク環境を実現することができます。