2000年頃から急激に耳にすることが多くなった「人工知能」ですが、「それはどういうモノなのか?」
という質問に的確に答えられる人は2023年現在も少ないのではないでしょうか。そこで、人工知能学会
(JGAI)の”What’s AI?”というホームページを参照し、AIについて少し考えていきます。
【人工知能の側面 その1】人間の知能そのものを持つ機械を作ること
ひとつは、人間の知能そのものをコンピューター上で再現しようという試みです。これは「強いAI」と
呼ばれるものです。人工知能はもともと人工的に知能と言えるモノを生み出すことを目的としていました
が、初期の人工知能は”パターン認識”,”自動化のアルゴリズム”などの研究にとどまっており、本来の
人工知能研究となっていない背景を踏まえ、人工知能について再定義することがJGAIのHPで明文化され
ています。
【人工知能の側面 その2】知能を使ってすることを機械に任せること
もう一つは、人間が知能を使って行う仕事の一部を機械に任せるということです。これは本来の人
工知能と呼べるようなものでなくとも、役に立つものであれば良い、という考え方で「弱いAI」に
相当します。有識者のジョン・サールによれば、一見すると本物の知能、「強いAI」のように見える
モノであっても、実はその仕組みは機械的に処理しているだけで、人工知能とは言えないようなモノ
を「中国語の部屋」という思考実験で証明しました。
「強いAI」と呼べるような真の人工知能は、AIが流行し始めて(一般人がAIを認知し始めて)から
25年たった今でもまだ存在していない。ディープラーニング等の技術革新により、パターン認識や
自動化の性能が格段に向上したとはいえ、『知能とはなにか?』『何ができるようになると知能
を持っていると言えるのか?』といった哲学的な問に答えられない限り、「強いAI」の完成には
程遠いと言わざるを得ないのが現在の実情です。